2013/04/06

桜が散るように

Leica M3 Summicron 5cm/f2 IFORD DELTA 400

今年も桜を撮らずに桜は散りました。


毎年春がくると、人は桜に惹かれます。

綺麗な花は他にもたくさんあるのに、桜だけには特別な魅力があるようです。
これはどうも、人は桜でないものを見ているのではないかと思うことがあります。

美しい桜を見ているのではなく、美しいと感じる心を見ているのです。


「こんな美しい桜、是非写真に残したい」

そう思って撮った桜の写真はあまりに下手糞、これは良く聞く話です。
それは写真の上手い下手ではなく、撮りたかったものが撮れていなかったからでしょう。

本当に美しいと感動したのは、美しいと感動した自分の心なのです。

だから撮った写真を指差して、

「本当はもっと綺麗だった」
「写真では表現できないくらいすごかったんだ」

と誤魔化してみても仕方のないこと。何故ならそこに心は写っていないからです。


言葉で「こんにちは」はすぐに言えるけれど、心震える「こんにちは」を簡単に言うことはできません。
カメラがどれだけ進化していても、シャッターを押すだけで心を表現できる時代には、まだ少し遠いです。

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