Leica M3 Summicron 5cm/f2 IFORD DELTA 400 |
今年も桜を撮らずに桜は散りました。
毎年春がくると、人は桜に惹かれます。
綺麗な花は他にもたくさんあるのに、桜だけには特別な魅力があるようです。
これはどうも、人は桜でないものを見ているのではないかと思うことがあります。
美しい桜を見ているのではなく、美しいと感じる心を見ているのです。
「こんな美しい桜、是非写真に残したい」
そう思って撮った桜の写真はあまりに下手糞、これは良く聞く話です。
それは写真の上手い下手ではなく、撮りたかったものが撮れていなかったからでしょう。
本当に美しいと感動したのは、美しいと感動した自分の心なのです。
だから撮った写真を指差して、
「本当はもっと綺麗だった」
「写真では表現できないくらいすごかったんだ」
と誤魔化してみても仕方のないこと。何故ならそこに心は写っていないからです。
言葉で「こんにちは」はすぐに言えるけれど、心震える「こんにちは」を簡単に言うことはできません。
カメラがどれだけ進化していても、シャッターを押すだけで心を表現できる時代には、まだ少し遠いです。