2014/04/19

「プロっぽい写真」考



「プロみたいな写真」と言われる写真があります。

みんながコンパクトカメラや使い捨てカメラを使う時代には、、、

野鳥やカースポーツなど、遠くのものを大きく写す写真であったり、
狭い室内や雄大な自然など、画面いっぱいにたくさん写す写真であったり、

写ルンですでは表現できない画角を活かした写真が「プロっぽい」写真で、
強いて言えば、レンズ交換式一眼レフカメラを使うことが「プロっぽい」でした。


みんながダブルズームキットのデジタル一眼やスマートフォンのカメラを使う時代には、、、

ダイナミックレンジの広い柔らかい階調を持つ写真であったり、
大きな背景ボケのある写真であったり、

小さなセンサーと被写界深度の深さでは表現できない撮像素子を活かした写真が「プロっぽい」写真で、
強いて言えば、センサーと画像処理エンジン、それに大口径レンズを選ぶことが「プロっぽい」のように見えます。

iPhoneで撮った写真も、デジカメ的なストレートな画質よりも、Instagram的なフィルターを咬んだものが「プロっぽい」とされています。


撮った写真だけ見れば、みな、希少性に価値を見出しているように見えませんか?


先日、グーグルはandroidアプリ「Googleカメラ」をリリースしました。
このアプリケーションには、撮影時にスマートフォンを移動させて被写界深度を計算し、ソフトウェアで背景ボケを生成する機能が付いています。
後からピント位置を編集できるので、Lytroと競合します。

これは難しい技術の塊にも見えますが、もっと簡単な仕組みでボケを生成する技術としてはモルフォ(3653)の「Morpho Defocus」のようなものあります。
これは被写体とその背景にピントを合わせて背景にぼかし処理を入れるというものです。

スマートフォンのカメラはセンサーが小さくて画角が広めなので被写界深度が深く、ボケは今まで苦手な表現でした。
ところが、ソフトウェアは万人に対して光学性能の縛りを無くすレベルまで進化したのです。


みんなが「一眼レフを使ったような」大きな背景ボケを楽しむ時代がやってきそうです。


その頃にはどこに希少性を感じ、何に「プロっぽい」と感じるようになるのでしょうか。
それとも、「プロっぽい」を追いかける時代が終わるのでしょうか。


そのうちの一つで答えが出ているのはGoProでしょう。

大きくしたり小さくしたり、極端に傾けたり間を開けたり、ハイキーにしたりローキーにしたり、ぼかしたり、色を転ばせたり、いくら変わったことをしても、人生の経験自体は変わったりしません。

ツーリング、スカイダイビング、サーフィン、ほかたくさんの冒険が今日もYoutubeにアップされ、マッシュアップされて世界中に拡散される世の中で、知っていることはたくさんあっても、個人の人生経験は、その人個人のものなのです。

「プロっぽい写真が真似できて嬉しい」という感情ではなく、自分の人生そのものを歓ぶ感情が問われている。そんな風行きを感じています。

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